第65代理事長 藤井 翔太

一般社団法人 むつ青年会議所

第65代理事長

藤井 翔太

プロフィール

(株)フジイ 取締役専務

理事長所信

はじめに

むつ青年会議所の歴史を紐解くと、その時代を生きる先輩方がその時代の課題を見つめ、よりよい社会の実現の為描いた夢に挑戦し続けたことがわかります。人口減少、少子高齢化に対する青少年育成事業を中心に、むつ下北ならではの課題解決に向けた事業が多くある中、私が入会してからは、新型コロナウィルスの蔓延、大畑、風間浦地域の豪雨災害に対する迅速な救援活動が私の胸に強く刻まれました。私は共に活動する身でありながら、自らの時間を費やし危険や不安を顧みず行動に移してしまうメンバーのその姿を見て、この人たちはヒーローだと思いました。常に地域にある課題と向き合い、行動し挑戦し続けてきた経験があってこそ、予想外の困難にも立ち向かう組織としての強さが根付いてきたのだと私は確信しています。むつ青年会議所の先輩方が描いた夢への挑戦、そして課題と向き合う勇気を基盤として、私たちの活動が成り立っていることを強く実感しております。
 世界情勢に目を向けると、二〇二二年度から始まったロシアによるウクライナ侵攻、二〇二三年にはイスラエルパレスチナ問題と、世界平和のあり方が問われる出来事が多く見受けられます。国内では、福島第一原発の処理水放出による風評被害が問題となりました。燃料価格の高騰、改善が実感できない経済状況等もあいまって、国内のニュースでは治安の悪化を感じずにはいられない出来事が多数報道されました。
 世の中がこのような不安と困難に直面した時、いてもたってもいられずつい行動を起こしてしまう、そんなヒーローとして考え行動できる力が、長く続くむつ青年会議所の歴史の中から、私たちには備わっています。そして、これからも私たちは行動を止めることなく成長し続けます。

夢で描いた未来を共に創造できる仲間づくり

人は生きていくうえで多くのことを経験し、多くの学びを得ることにより、その経験や知識はいつしか失敗を避けるよう計画性と未来予測に役立つようになってきました。私は、ひとりでは実現できない夢を仲間と語り、できないと思うことをできるようにするためにはどうしたらいいかという議論を積み重ねてきた青年会議所での経験が、夢という言葉で終わらせない実現する力へと変化することを学びました。二〇二二年、二〇二三年に実施したSummerWaterFestival では、身近にある公園を、水遊びの場や絵の具を使ったイベントの誘致、飲食店ブース出店による地域飲食店の活躍の場、地域で活動する様々な団体のステージ発表ができる場と、様々な娯楽を集約した大型事業を成功させました。むつ青年会議所だけの力では実現不可能な夢も、様々な関係者からのご支援を受けて実現できたことは、新たな夢の実現に向けての原動力となりました。この実体験をむつ下北地域で共に暮らす夢を持つ多くの仲間に伝播し、共に行動したいと思えるような共感の輪が広がっていくきっかけとなる場を創出していきます。

むつ下北地域を好きになる仕組みづくり

私はむつ下北が大好きです。むつ下北地域の様々な地域を観光し、下北ジオパークが象徴する三つの海、四つの地質からなる自然や風土の違いがもたらす、一つの半島で様々な食や文化を楽しめることを身をもって経験してきました。青年会議所とは別の取り組みとして、風間浦村下風呂温泉の大湯ならびに新湯立て替えに伴う記録誌作成活動をきっかけに、むつ下北地域の風土や歴史に関する興味が強くなりました。物事を好きになるには、その物事をよく知りたくなるきっかけが必要だと私は考えます。今までにない挑戦をすることで、同時にむつ下北地域を理解し好きになるきっかけとなるような、挑戦と知るをかけ合わせた事業を展開してまいります。

青年が活躍し輝く地域づくり

充実した人生を定義することは難しいですが、一つの要素として挑戦することによって得られる経験がとても重要だと私は考えます。
私は二十代のころの関東での音楽ステージ経験を通して、自分が活躍し貢献することへの喜びを学ぶことができました。そして今現在、SummerWaterFestival のような事業を通して、青年会議所だからこそできる活躍の場を体験できています。そこでの成功体験が新たな挑戦への原動力になり、こうして挑戦し続ける習慣となり充実した人生を実感しています。しかし、全ての青少年に平等にこのような経験の機会が提供されるには、まだまだ事業が足りないと感じています。次代へバトンを渡す懸け橋となる私たち青年が担うべき大きな役割として、青少年が活躍し輝ける場を提供することはもはや義務であると考えています。やったことのないことにも勇気をもって挑戦し、青少年が汗と涙を流し、最高の成功体験ができる場がある地域づくりを行っていきます。

革新的な運営ができる組織づくり

今まで習慣になっていた運用方法や仕組みが大きく変わることはとても大変なことです。しかし、私たち青年は次代を担う子供たちの成長を妨げないよう、時代の流れに合わせて成長を加速していかなければいけません。ペーパーレス化、電子化、運営方法の簡略化、伝達方法の効率化等、継承された伝統の経緯を理解しつつ次の時代へバトンを渡す努力は、我々青年が怠るべきことではありません。時代の変化に柔軟に対応し、過去を敬いながら変化についていくことができる組織運営を行っていきます。

地域の特性を生かした事業づくり

日本人として生きる慶びのひとつとして、四季と共に時間を歩むことが挙げられると思います。しかし、競技スキー経験者の私でも、むつ下北にある大切な四季の中の冬に関してはまだまだ特性が活かしきれていないと感じます。海も近く、山も近いむつ市だからこそ、この地域に住む人々の様々な趣味や生活習慣、仕事のスキルを活かせる機会にも恵まれているのです。四季折々の自然を活かした事業を展開し、また来年が待ち遠しくなる、そんな特性を生かした事業づくりを意識して行っていきます。

地域に密着した情報共有ができるネットワークづくり

昨今の世の中を見ていると、いかに早く正確で有益な情報をクリエイティブに発信していくかが重要であると認識させられる出来事が多く見受けられます。我々むつ青年会議所は、総会資料やJC 手帳のペーパーレス化、出欠確認の電子化等、対外対内問わずこれまでも新たな情報発信の形に挑戦してまいりました。時代の変化に柔軟に対応し、青年会議所活動がよりクリアになるような工夫をしながら、より幅広い年齢層の、より多くのむつ下北地域の人々にお届けできるような情報発信、また、地域で活躍する他団体との情報共有の場を設けるなど、地域に密着したネットワークづくりに努力してまいります。

多くの人を巻き込んだ最高の思い出づくり

私たちは近年、行政、友好他団体、地域企業、学校、報道等様々な分野で活躍する人々と連携し事業構築を行うことを意識して活動してまいりました。多くの団体と協力した大畑桜ロードのゴミ拾い清掃活動、二〇二二、二〇二三MGF への参画、むつ下北五市町村社会福祉協議会様との防災協定締結のように、むつ青年会議所現役メンバーの垣根を越えて、メンバーだけではできない事を理解し、強力なパートナーシップを構築することは今後ますます重要になっていくと思います。私たちに何ができるか、から、私たちは誰と何をするか、このように考え方を転換し共に運動することで、青年会議所だけでは達成できない最高の結果と最高の思い出が、巻き込まれたたくさんの方々と共有できます。そして何より、たくさんの方と運動を共にすることでより強固な協力体制が築かれる地域になると確信しています。様々な事業において、多くの関係者と連携し事業構築していく工夫をしていきます。

最後まで諦めない心で最高の成功体験づくり

私は、自分自身が約束できることは、最後まで諦めないこと、それだけだと考えています。途方もない大型事業の構築段階では、どのように成功に導けばいいのかわからない不安と向き合い、仲間と協力しながら準備を進めていく段階でゴールが見え、当日は必死に運動発信し、終わってみると仲間たちと笑顔で労を労うことができる、青年会議所はそのような体験の連続です。最初から成功を約束することは困難でも、諦めずに最後までやりきります、という約束は誰にでもできるはずです。成長のチャンスは困難にこそある、そして、成功体験が成長を加速させる。そのプロセスで重要なのが諦めずに最後までやりきることだと、今までの青年会議所活動が教えてくれました。私たちは、メンバー全員がそのような気持ちで活動できるようお互いを支え合い、自分だけでは実現できないであろう目標設定をし、最高の結果をもたらすようヒーローたる勇気ある行動を選択していきます。

結びに

このむつ下北にはなにもない、そのような声がたまに聞こえてきます。絶対にそんなことはありません。ここには、むつ市があるのです。
新幹線、高速道路が通らず、空港がなく、流通に大変不利なこの地域に市があるのです。それは、この地域で生活していこう、この地域を発展させていこうと夢を描いた先駆者達の情熱があったからこそ実現された未来です。何故そのようにむつ下北は愛されてきたのか。山があるから、海があるから、川があるから、雪があるから、多種多様な生活基盤となる事業、趣味が実現できるなんでもあるむつ市で、私たちは夢を描き未来を想像する運動を、ヒーローたる考え方、選択をもって発信していきます。